刑事弁護はスピードが肝心です

 

 刑事事件の約3割を占める身柄事件(被疑者が逮捕・勾留される事件)では、警察官から検察官への送致は逮捕後48時間以内、検察官の勾留請求は送致受理後24時間以内(かつ逮捕後72時間以内)に制限され、しかも検察官は勾留を請求した日から10日間(20日間まで延長されることがあります。)以内に起訴しないときは、被疑者を釈放しなければなりません。
   このように、身柄事件では、厳格な時間制限があります。これは捜査機関に課せられた制限なので、被疑者・弁護側は無関係だと思われるかも知れません。しかし、それは間違っています。逮捕された被疑者が勾留を請求されるかどうかは、逮捕後72時間以内に決まります。被疑者・弁護側としても、その時間内に、勾留されるほどの嫌疑があるのか、勾留の必要があるのかどうか調査し、勾留が不当と思われるのであれば、勾留請求に対して直ちに争わなければなりません。

 また、検察官は、制限期間内に身柄事件の起訴・不起訴を決するため、多くの場合、勾留請求時に捜査方針を策定しています。弁護側としても、同様にできる限り早期に弁護方針を決する必要があります。例えば、被害者との示談成立が起訴・不起訴の判断を左右する事件だと判断できれば、直ちに示談交渉を始める必要があります。

 では、在宅事件(被疑者が身柄を拘束されない事件)ならば、被疑者・弁護側は急ぐ必要がないのでしょうか。いえ、やはりそうではありません。刑事事件は、証拠が散逸しないうちに収集しておかなければなりません。立証責任を負うのは検察官ですが、被疑者・弁護側においても、被疑者に有利な証拠があれば、早期に収集して確保しておくことが必要です。
   以上のように、刑事弁護は、早期に確かな見通しを立て、迅速に行動することが必要不可欠なのです。